法人としてビジネスを行う上で、どうしても必要なものの一つに「会社の住所」があります。
もちろんこれは自宅を会社の住所として登記することも可能です。でも、自宅の住所をWebサイト上で公開するのってちょっと抵抗がありますよね。そんな時に役立つのが、これから説明する「バーチャルオフィス」です。
私自身、バーチャルオフィスを利用していたことがありますので、実際の体験をもとに記事をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
バーチャルオフィスを法人として利用する5つのメリットとは?
法人がバーチャルオフィスを利用するメリットは大きく分けて以下の5つが挙げられます。
- 信頼性の向上
- 低コスト
- 柔軟性
- 効率化
- 地域展開
信頼性の向上
バーチャルオフィスを利用することで、住所や電話番号が一般の商業施設のものと同じになるため、企業の信頼性が向上します。
バーチャルオフィスでは東京都内の一等地を住所として使用しているバーチャルオフィスが多くあります。たとえば、
- 渋谷
- 銀座
- 青山
- 新宿
- 秋葉原
などがあります。
低コスト
実際のオフィスを構えるよりも費用が抑えられるため、スタートアップや中小企業にとって経済的な利点が大きいです。
たとえば、上記の銀座で事務所を借りるとなると敷金だけで数十万円(相場は家賃10ヶ月分)になる場合がありますし、月々の家賃も3坪ほどで8万円とスタートアップ企業には大きな出費になります。
その点、バーチャルオフィスでは月額1000円もかかりませんし、契約事務手数料もせいぜい5000円程度。非常に低コストで利用できます。これは大きなメリットですよね。
柔軟性
会社として登記する住所は銀座や渋谷などの都内一等地でありながら、実際の業務は自宅でもどこでもできますので、場所や時間にとらわれずに業務を展開することができ、ビジネスの柔軟性が向上します。
効率化
バーチャルオフィスを利用することで、様々な手間や時間を削減し業務の効率化が図れます。
最近はコロナ禍によってリモートワークが一般的になりました。打ち合わせもzoomなどのオンラインで十分行うことができるので、会社住所はバーチャルオフィスにして、それぞれが自宅等の都合の良い場所で仕事を行うというスタイルを取ることができます。
また、混雑している電車に乗るなどの通勤時間を省くことができ、効率的に仕事を行うことが可能になりました。当然ですが、通勤交通費や旅費交通費も節約できますね。
地域展開が可能に!
バーチャルオフィスの中には、東京都内だけではなく、大阪や京都、福岡、札幌など複数の地域の住所を利用できるバーチャルオフィスもあります。
この点、様々な地域で事業展開したい法人にとって、バーチャルオフィスは地理的な制約を乗り越える手段となり、地域展開のサポートをしてくれます。
これも、上記の「信頼性の向上」と関連がありますが、「あ、全国規模で事業展開している企業なんだ!」と思ってもらえるメリットがあります。
バーチャルオフィスを法人として利用する3つのデメリットとは?
では次にバーチャルオフィスを法人として利用することのデメリットについて考えてみましょう。
考えられるデメリットは3つあります。
- 信用力の低下
- 規制や制限のリスク
- 実際の業務運営の不便さ
では、上記3点を順番に挙げてみます。
信用力の低下
メリットの一つとして「信頼性の向上」を挙げていますので、一見すると矛盾しているように感じるかもしれません。ですので、これはあくまでも取引相手などが法人登記されている住所をネットで調べた場合、ということです。
実際のオフィスを持たないことで、実体のない会社と見なされるリスクがあるため、ビジネスパートナーの獲得や融資申請に不利になることがあります。
ただし、最近ではウェブ系のビジネスを行なっている場合など、実際には自宅で仕事をしているが「自宅はネットでは晒したくない」という理由でバーチャルオフィスを利用しているケースもありますし、経費削減にもなることから、肌感覚ではありますが、だいぶ理解を得られているようにも思います。
規制や制限のリスク
一部の地域や業界では、バーチャルオフィスの住所を使用することに対して規制や制限が設けられている場合があります。私は現役の行政書士なのですが、行政書士はバーチャルオフィスでは開業することができません。
また、会社設立時の登記や銀行口座開設時にバーチャルオフィスの使用が拒否されるケースも考えられます。しかし、これもバーチャルオフィスであっても問題なく法人口座を開設できる金融機関もありますので、さほど大きなデメリットにはならないと考えています。
参考までに、私の会社は資本金1万円で作った会社ですが、設立直後でも2つのネット銀行の法人口座(GMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行)を開設することができました。
実際の業務運営の不便さ
個人的にはこれが一番のデメリットになると思っています。
バーチャルオフィスでは、物理的なオフィススペースがないため、顧客との面談や会議が困難になります。
また、郵便物の転送に時間がかかることがあり、重要な書類が遅れて届くリスクも伴います。特に、法人の場合は社会保険関係の書類がたびたび郵送で届きます。年金事務所や協会けんぽからの郵便物なのですが、バーチャルオフィスの場合、転送で届くのでどうしても遅れてしまいます。
私個人は、この「郵便物の遅れ」が一番のデメリットではないかと考えています。ですので、契約するなら毎週転送をしてくれるバーチャルオフィスだったり、プランを選ぶ必要があると思います。
まとめ
いかがでしょうか。バーチャルオフィスを、メリットもデメリットも理解したうえで利用するなら、目立たないもののビジネスには欠かせない存在となるに違いありません。